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歯ぐきがやせた歯肉退縮部位への歯肉移植症例

「年々歯ぐきが痩せてきた気がする」「以前はこんなに歯は長くなかったのに・・・」と思われている方は注意が必要です。

過去の報告で「歯肉退縮部位をそのまま放置すると、たとえ口腔衛生状態が良くても長期的にはさらなる歯肉退縮が高い確率で生じる(ChambroneTatakis 2016 )」と報告されています。

30代 男性 だんだんと歯ぐきがやせてきた
歯ぐきの評価

もともとの歯ぐきの位置はこちらの青のラインとなりますので、かなり痩せてしまったことが分かります。そして歯ぐきが痩せているだけでなく、全体が非常に薄く弱々しい状態でした。このような状況だと、歯ブラシの力を入れ過ぎると歯ぐきは痛んでさらに痩せてしまうことになります。逆に怖くて磨かなくても炎症が起きやすく、これもまた歯ぐきはさらに痩せていくことになります。要は絶妙のブラッシングを行う必要があるわけですが、それが難しいがゆえに過去の報告の通りさらに痩せていくということになっていきます。

また、過去の記事にも記載した通り、歯の周囲には炎症を起こさないためには最低でも2mmの歯ぐきが必要と言われておりますが、少ないところで歯ぐきは1mm程度しかありませんでした。

過去の歯ぐきの記事はこちら>>>

治療方針としては、痩せた歯ぐきを再生するだけでなく、歯ぐき全体の安定性向上のために厚みと幅の改善を図り、将来的な歯肉退縮の再発も予防することとしました。

歯ぐきの移植「結合組織植術(Connective Tissue Graft;CTG)」

歯ぐきの移植を行う場合、上アゴの内側の部分(青のライン)辺りから歯ぐきを採取します。

そして、歯ぐきが不足している部分へと移植します。

歯周形成外科「根面被覆術」

採取した歯ぐきを調整し(左)、元々の歯ぐきの中に滑り込ませてはさみ込んだ状態(右)です。

また、根面被覆術の場合は、露出した根の表面に組織再生が有利となる薬剤(エムドゲイン、リグロスいずれか)を塗布することで治療結果の向上につながると言われています。

移植した歯ぐきと元々の歯ぐきを糸で固定した状態です。

術前・術後の比較

術後3ヶ月で、通常の管理ができる状態となり、メインテナンスへと移行しました。

歯ぐきの幅も広くなり、厚みも分厚くなったことで以前より歯肉退縮しにくい環境へと変わりました。

年代・性別30代 男性
主訴歯茎がやせてきた(歯肉退縮)
治療内容歯周外科処置(結合組織移植を併用した根面被覆術)を行い、露出した根の部分を覆うように処置を行いました。また、元々少なかった歯ぐきを増やす術式を採用しました。
費用8.8〜11万円(税込)
※複数歯の場合2本目以降:5.5万円(税込)
※組織再生のための薬材併用(エムドゲイン、リグロス):3.3万円(税込)
期間術後約2ヶ月で通常ブラシを再開できます。その後は、定期的なメインテナンスが必要となります。
リスク・副作用根面被覆術は治療後、痛みや違和感、出血、腫れなどが出る事があります。喫煙者、糖尿病の患者様の場合、移植した組織が定着しにくいことがあります。

術後1年の状態です。歯ぐきは成熟し、治療後の状態を維持しております。

実際に当院にご来院されました患者様には、具体的な資料やご自身の状況に近い治療実例を見て頂き、治療に関するご相談をさせて頂きます。

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