根管治療は歯科の中でも難易度の高い処置であり、成功率を100%にまで高めることは難しいですが、当院では歯科用顕微鏡を始めとした、さまざまな機器、器材を導入して根管治療の精度を可能な限り高める努力を行っております。
根管治療とは、歯髄炎や根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)などの病気に適応されるもので、細菌に汚染された根管内をきれいに清掃する処置です。細菌に感染した歯髄を除去するとともに、特別な薬剤や器材を用いて、根管内の無菌化をはかります。
根管治療は、建築における基礎工事にあたります。土台の部分がしっかりしていれば、外壁などが老朽化しても、修理するのは簡単です。根管治療も、根管内の無菌化を達成していれば、被せ物の修理が必要になることがあるかもしれませんが、天然歯そのものを失うリスクは低くなります。根管治療はそれくらい重要な処置なのです。
根管治療が難しい理由としては、以下の2点が挙げられます。
根管は細く、暗く、複雑な構造を呈しています。しかも、傷が付きやすいことから、極めて繊細な処置が求められるのです。アメリカでは、根管治療の専門医が存在するくらい、難易度の高い治療のひとつといえます。
根管治療は、歯科治療の中で最も多くの器材や設備を必要とする処置といえます。そこでご紹介したいのが当院の根管治療の特徴です。
POINT1マイクロスコープの使用
歯科では1mm以下の部分を治療する機会が多く、歯科用顕微鏡が大きな力を発揮します。視野を肉眼の最大30倍程度まで拡大することで、根管を明確に把握できるようになります。
POINT2歯科用CTの使用
歯科用CTは、歯やその周囲の組織を三次元的に描写できます。平面の画像しか得られないレントゲンとは得られる情報の精度が大きく異なります。患部を立体的に描写することで、根管の位置や形態、病変の有無なども正確に把握できます。
POINT3ラバーダム防湿
根管治療を成功させる上で最も重要なのは「無菌的処置」です。根管内を無菌化することが治療の主な目的である以上、処置中の細菌侵入は絶対に起こってはいけないことといえます。そこで有用なのが唾液(細菌)の侵入を防止できるラバーダム防湿です。患歯以外をゴム製のシートで覆うことで、無菌的処置を実現します。
POINT4ニッケルチタンファイルの使用
ファイルとは、歯髄を除去したり、根管内を清掃したりする際に用いるヤスリです。保険診療ではステンレス製のファイルが用いられるのですが、硬くて丈夫な反面、根管壁を傷つけたり、場合によっては穴を開けたりする恐れがあります。その点、柔軟性の高いニッケルチタン超弾性ファイルなら、根管壁を傷つけることなく、安全に清掃することが可能となります。
POINT5超音波洗浄
根管内を無菌化する上で「洗浄」というプロセスも非常に重要となってきます。当院ではそのプロセスを超音波と薬剤を併用することで、より効率良く、根管内を洗浄することが可能となっております。根管治療用に開発された超音波チップは、水中に酸素の泡を発生させ、汚染物質である切削片を隅々まで洗い流すことができます。
POINT6根管充填
根管清掃が完了したら、細菌が再び繁殖しないよう、専用の薬剤で封鎖します。薬剤がすき間なく充填されることで、再感染のリスクを大きく下げることができます。
POINT7MTAセメント
根尖の直径が0.5mmを超えていたり、根管壁に穴が開いたりした際には、MTAと呼ばれるセメントを用います。本来、失敗に終わる症例でも、MTAを用いると成功率が高まる場合があります。
POINT8歯根端切除術
通常の根管治療では治癒に至らないケースに適応される術式です。根尖部を外科的に切除して、逆方向から根管充填を行います。非常に高度な治療法ですが、成功すれば抜歯を回避できます。
POINT9治療器具の滅菌管理
根管治療に使用した器具は、すべて滅菌処理を施します。使い捨てのディスポーザブル品も可能な限り採り入れております。
POINT10十分な診療時間の確保
根管治療は、精密な操作が求められる処置です。患者さまお一人おひとりに十分な診療時間を確保した上で、ていねいに治療してまいります。