新型コロナウイルスの流行に伴い、うがい・手洗いや3密を避ける、マスクをするなどの感染予防策に加え、歯科領域からも有効だと考えられる予防策があります。
それは「口腔ケア」です。
口腔ケアのインフルエンザウイルスに対する予防効果を調べた研究では、「適切な口腔ケアにより感染率は10分の1になった」との報告があります。
お口の中が不潔な状態を放置するとウイルスの感染や重症化を招きやすくなります。
では、どのような口腔ケアを行うと良いのでしょうか?
①歯磨き

唾液には殺菌作用をはじめとするさまざまな働きがあると言われていますが、寝ている間の唾液の分泌量は一般的に低下します。その結果、朝起きた時のお口の中の細菌数は夜寝る時の30倍とも言われます。お口の細菌には、気管支炎や肺炎などの発症や重症化にかかわる肺炎球菌のほか、重篤な感染症の原因となる黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア菌などの細菌も含まれています。
これらの細菌はプロテアーゼと呼ばれる酵素を出し、ウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする特性をもっています。朝起きて、細菌がたくさん溜まった状態でそのまま飲食を行うと何が起きるでしょうか?プロテアーゼが喉(のど)の方へと移動し、食後に歯磨きを行っても喉の粘膜にはプロテアーゼが残ってしまいます。
これは日中のウイルスの体内への侵入を行いやすくしてしまうので、まずは朝起きて歯磨きをしましょう。そして、毎食後にさらに歯磨きを行いましょう。
②舌清掃

舌の表面にはウイルスの受容体(取り込み口)が存在していることが報告されています。
また、舌表面に付着している細菌を含む口腔内細菌は肺炎を生じさせることが以前から報告されております。ウイルスによる肺炎を生じてしまった時に肺炎をお口の細菌によって重症化させないためにも、普段から舌の表面のケアは重要です。
最後に
細かい口腔ケアの方法に関してはお口の状態によるところもあるので、歯科医師・歯科衛生士にご相談下さい。