生涯を通してのご自身のお口の状態と全身の健康状態がどうなっていくのか、皆様はイメージをお持ちでしょうか?

日本の歯科治療の「約8割」は、やり直しの治療と言われています。
その一方で、1本の歯に対して治療できる回数は平均すると「4〜5回」が限界であるという報告もあります(岡山大学予防歯科)。

限界を超えた歯は残念ながら抜歯に至り、多くの場合、生じた歯の欠損に対する次の治療が必要になります。ここで注意しなければならないのは、「治療」とは言うものの治療することは元通りの状態に戻るわけではなく、人工物で補うことに過ぎないということです。歯の数が少なくなると残った歯への負担は徐々に大きくなり、お口全体の健康を維持すること自体が最初の状態より徐々に難しくなっていく場合が多いです。
また近年では、お口の健康と「全身の健康」との関連性も数多く報告されております。

日本人の死因内訳は上記の通りですが、実はその半数以上(赤枠の部分)がお口の健康と関係性があると言われています。



このように、お口の健康を維持することは、大袈裟な話ではなく、寿命に直結すると言っても過言ではありません。
また、それ以外にもお口の健康と全身の健康の関係は多くのことが言われています。

「噛む」ことは脳を活性化し、逆に「噛めない」ことは認知症の発症リスクを約1.9倍上昇させることが報告されています。


さらに歯周病は、糖尿病や早産・低体重児出産などとの関係性も示されています。歳をとってからの問題と思われがちな歯周病ですが、若い方にも実は深刻な問題を引き起こします。
これらのデータからも、お口の健康を維持していくことの重要性がお分かり頂けるのではないかと思います。
最初の方でも述べましたが、1本の歯の治療は4〜5回までしか治療することができません。では、どうすれば一生涯にわたりお口の健康を維持することができるでしょうか?
それは、
❶虫歯や歯周病などの問題の発生の「予防」
❷そもそも予防するために必要な「環境づくり」としての「治療」
この二つが重要なポイントになります。
当院では、生涯におけるお口の健康をお守りするための「治療」と「予防」をご提案することを医院理念の一つに掲げております。
お口の問題は多くの場合自然治癒することはなく、一度生じた問題は程度の差はあれ、症状の有無と関係なく徐々に進んでいくことがほとんどです。今まさにお口で起こっている問題を早期発見し、早期に治療することが問題の拡大を防ぎます。1回の治療を患者様の生涯に関わる大切なことと考えて治療をお受けいただければ、お口だけでなく全身の健康にも多くの良い影響が期待できるのではないかと考えております。
患者様には生涯においてご自身のお口の健康を維持することの「価値」を少しでも知って頂き、患者様それぞれの背景やご希望、思いに寄り添ってサポートしていけるクリニックでありたいと考えております。
お口の中は必ずしも「症状がない=問題がない」とは限りませんので、お口の事でお悩みの方もそうでない方も、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
最後まで長文お読み頂きありがとうございました。