前歯の治療は患者様の生活の質に大きく影響を及ぼします。
外傷歯に対して根管治療後にかぶせ治療を行った症例
患者様は歯をぶつけたことで3番目の歯が折れてしまい(外傷)、他院にて一度はかぶせ治療を行うも、夜も眠れないほどの歯髄炎(神経の炎症)を生じてしまい、さらにかぶせものを外して根管治療を試みるも、麻酔が効かずに処置を断念したとのことでした。当院へと来院された時にはすでに神経は死んでしまっておりました。
根管治療
ラバーダム防湿を行い、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いて精密根管治療を行いました。
最初に顕微鏡下にて根管内を確認すると、根の中にはかなりの出血(炎症反応)が確認されました。治療前が左のレントゲンとなりますが、根の先の部分は上顎洞(副鼻腔)というお鼻の空洞と接しており、レントゲン状で白い影が確認でき、上顎洞炎(副鼻腔炎、蓄膿)を併発している状況でした(赤丸)。右のレントゲンが治療後で、根管治療後は白い影も消失し、上顎洞も含めて炎症がなくなったことが確認できました。
前歯の精密根管治療(抜髄処置) 6.6万円
根管治療の起こりうる合併症
- 治療後、痛みや違和感が出る事があります。
- 治療後、根の病気が再発する可能性があります。
- 治療した歯が黒っぽく変色する事があります。
- 根の病気が再発した場合、外科的な根管治療を行う可能性があります。
かぶせ治療
となりの歯の見た目も気にされており、ご相談の上で一緒にかぶせ治療を行っていくことになりました。歯の形を精密に整え、下の写真は特殊カメラを用いて色合わせ作業を行っているところです。
最終のかぶせ物の作製
アレルギー性が低く、生体親和性の高いジルコニアセラミックのかぶせものです。ジルコニアのフレームの表面にセラミックを焼成し、かぶせ物を同時に作製いたしました。
装着時の写真です。
「治療結果が長持ちするため」に必要な要件を満たすことと美しい修復物の作製に努め、歯の修復を行いました。
ジルコ二アセラミックのかぶせもの治療費:16.5〜17.6万円(税込)
起こりうるリスク:強い衝撃が加わると、かぶせ物が欠けたり割れたりする可能性があります。必ずしもご希望通りの見た目にならない事があります。根の問題が発生した場合、根管治療の必要性が生じる可能性があります。
初診時と比べて形、色調共にお顔と調和し、自然なスマイルを得ることができました。
無事に痛みもなくなり患者様にはご満足を得ることができました。
ピンク印:かぶせ治療した部位
術前・術後の比較
周りの歯の着色・汚れも除去して綺麗な状態となりました。
治療結果が長持ちすることの「価値」
お口の問題を起こす原因は「細菌」であることが多いです。原因となる細菌を除去した上での「清掃しやすい環境づくり」こそがすべての治療に共通する長持ちする最も大切なポイントとなります。特にかぶせものの治療は、接合部の適合性・精密性が高ければ、歯ブラシやフロスを用いて適切に汚れが取り除けることにつながります。このポイントを満たすには、拡大視野下での作業はもちろんのこと、さまざまな治療技術を用いた丁寧な治療が求められます。
岡山大学予防歯科講座の報告によると、「日本の保険診療での虫歯の再発までの平均期間は5〜6年である」と言われています。
治療結果が良好に長持ちすることの「価値」は、患者様の生涯を考えると計り知れません。見た目だけでなく、機能、そして健康のために、修復の方法に関して一緒に考えていきましょう。
実際に当院にご来院されました患者様には、具体的な資料やご自身の状況に近い治療例を見て頂き、治療に関するご相談をさせて頂きます。
治療の終了はスタート!
ここからこの結果を維持できるように、定期的なメインテナンスへと移行いたしました。