虫歯に対して、近年「ダイレクトボンディング修復」と言われる詰め物の治療が発展し、即日修復で削る量を最小限に、かつ高精度に修復することが可能となったため、歯の予後を向上することにつながってきています。また、金属を使わないメタルフリーの修復となり、金属アレルギーの方にも優しい生体親和性の高い(お身体に優しい)修復となります。
患者様ご自身の歯の色に合わせて詰めるので、見た目にも違和感がなく、適応症を正しく選択すれば耐久性にも優れており、健全な歯質をそのまま残すことが可能となります。
ダイレクトボンディング修復にも細かく分類するとさまざまな方法がありますが、虫歯が進行すると処置の方法もやや複雑になり、処置時間や費用の負担も大きくなるため、早期発見・早期治療が基本となります。
虫歯の修復部位は次の5パターンに分けられます。

I級(かみ合わせの面の修復)

こちらの症例は、銀の詰め物を除去してダイレクトボンディング修復を行いました。右が治療終了時の状態。段差のない機能的な修復が可能となります。
詰め物を装着する時は、絶えず唾液による汚染リスクが生じます。唾液には無数の細菌が含まれており、治療中の歯に付着することで、虫歯の再発を招きます。そのため、歯科治療はできるだけ清潔な口腔環境で行う必要があるのです。
また、お口の中は湿度90%を超え、例えるならば熱帯雨林の中で治療しているようなイメージになりますが、詰め物を装着する際の接着剤は水分に非常に弱く、湿度が上がると接着力が低下するという報告も多数あります。そこで登場するのが「ラバーダム防湿」もしくは「ZOO」という吸引機です。

ラバーダム防湿は、上の写真のように治療を行う歯の周りをゴム製のシートで覆う処置で、唾液による汚染を防止することと室内の湿度にコントロールすることが可能となります。

医科領域の手術においてイラストのように綺麗な布で覆い、手術する部位のみを露出させるイメージと全く同じです。
また、ラバーダム防湿が難しい条件下においては、Zooという吸引器を用いると、ラバーダム防湿とほぼ同等の効果が得られますので、そちらを選択させていただく場合もございます。詰め物を装着する際に唾液が混入しないですし、予後は良好となります。
ラバーダムに関してはこちらにさらに詳細を記載しております。>>>

こちらの症例は、歯に立体感を出して色調を周りの歯と調和させるために、あえて溝の中に茶色い色を入れています。

I級修復の費用:6.05万円(税込)/部位 処置時間 1時間
II級(奥歯の隣の歯との境目の修復)

このように隣の歯との境目の部分の虫歯に対しては、健全な歯を極力削らないように丁寧に虫歯を取り除き、

壁を作るための専用の道具を用いて段差が生じないように精密に修復していきます。
このような場合に、型取りが必要なインレー修復を選択すると歯を削る量が多くなり、ダイレクトボンディング修復であれば削る量を最小限に修復することができます。

こちらの症例のように複数の虫歯に対しても、1本1本丁寧に修復していくことで、元の形態を回復することができます。
II級修復の費用:4.4〜8.8万円(税込)/部位 処置時間1〜2時間
II級修復の治療法の選択肢として、もう一つ一つセラミックインレー修復があります。
ダイレクトボンディ VS セラミックインレー 選択のポイントはこちら>>>
III級(前歯の隣の歯との境目の修復)

前歯の歯と歯の間の部分の古い詰め物と虫歯を取り除き、ダイレクトボンディングを行いました。
このように小さな虫歯でも、早期発見・早期治療を行うことで、問題の拡大を防ぎ、メインテナンスしやすい環境づくりを行うことができます。問題が大きくなってからでは、歯のダメージや治療のご負担が大きくなり、歯の喪失の時期を早めてしまうことになりかねません。
III級修復の費用:4.4万円(税込)/部位 処置時間1時間
IV級(前歯の角の部分を失った時の修復)

外傷などで写真のように前歯の角を失った場合の修復は、審美的な難易度が高くなります。修復にあたって事前準備として歯型採りを行い、模型上でシミュレーションを行った上での修復を行います。そしてシミュレーションによって得られた形を再現するためのシリコンガイド(コピーするための道具)を用いて歯のフレームを作製します。

そこから、歯の内部の象牙質の色から再現し、表層のエナメル質の部分を盛り上げていくことで、歯の透明感や明るさも含めて自然感が表現されていきます。

修復後の状態です。

同じ手法を用いると、こちらの症例のようないわゆる「すきっ歯」の改善も行うことができます。もともと隙間を樹脂で詰められてはおりましたが、段差の改善と審美的改善を目的に、すべての樹脂を除去してからダイレクトボンディングにて対応しました。
IV級修復の費用:7.7〜8.8万円(税込)/本 処置時間1.5時間
V級(歯ぐきの際の部分の修復)
歯ぐきから離れた部位の修復

歯ぐきから離れた部位に対してのダイレクトボンディング修復は、ラバーダムもしくはZooを併用します。
V級窩洞(歯肉縁上) 4.4万円/本(税込)処置時間1時間
虫歯が歯ぐきより深いところに進んでしまった場合の修復

虫歯が歯ぐきのきわ、あるいは歯ぐきの奥に進んでしまうと、歯と歯ぐきの間の溝からにじみ出てくる滲出液(しんしゅつえき)という水分によって、接着材の本来の接着性を発揮することが難しくなります。そこでラバーダム装置を用い、シートで歯ぐきを圧迫することで修復部位を露出させ、湿度も含めた水分のコントロールを適切に行った状態で修復できれば、予後の向上が図れます。この方法で処置できるかどうかはラバーダムを装着した時に修復したいところがしっかりと露出させることができるかどうかがポイントになります。

こちらも同じ方法で処置を行った患者様の術前と術後1週間後の状態です。処置を行った当日はラバーダムを装着し、作業を行うため歯ぐきにやや赤みが残りますが、1週間もするとこのように歯ぐきも落ち着いた状態を取り戻します。

修復物周囲に段差が残ると、「磨いても磨けない」状態となります。詰め物の周りが段差になっていて着色している場合は、このように中で虫歯になっていることが多いです。修復後は色調が調和することももちろん大切ではありますが、段差なく修復し、磨いたら汚れがしっかり取れるような環境づくりこそが、問題再発の予防にもつながる大切なポイントと考えています。
V級窩洞(歯肉縁下) 5.5万円/本(税込) 処置時間1時間
虫歯が歯ぐきの奥深いところに進んでしまい、通常のダイレクトボンディングが困難となった場合の修復

歯ぐきに対して虫歯の位置が深くなっていくと、ラバーダムを用いても修復部位を適切に露出させることが困難になっていきます。その場合、治療オプションとして歯周外科処置を併用して問題の解決を図ることがあります。歯周外科処置を併用することで、ラバーダム防湿下での修復が可能になり、さらには術後歯ぐきが健康に治癒するための歯周組織の調整も同時に行います。
V級窩洞(歯周外科併用) 11万円/本(税込) 処置時間2時間
ダイレクトボンディングの起こりうるリスク・副作用
年数が経つと変色してくることがあります。強い衝撃が加わると、歯と同程度に詰め物が欠けたり割れたりする可能性があります。必ずしもご希望通りの見た目にならない事があります。

当院は、すべてのダイレクトボンディング修復に歯科用顕微鏡(マイクロスコープ )を併用して、精密な治療を行うことを心がけております。虫歯のことでお悩みの方は、一度修復の方法に関してご相談ください。

当院は阪急京都線西山天王山駅徒歩2分、京都縦貫道長岡京インター目の前の立地のため、長岡京市、大山崎町、京都市、向日市、亀岡市、宇治市、城陽市、綾部市、福知山市、高槻市、島本町、枚方市、茨木市、大阪市その他、広域からの来院が可能となっております。
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