京都府長岡京市の歯科・歯医者「おだに歯科クリニック」の症例ページです。

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抜歯を覚悟したが、根管治療により歯が保存できた症例 2年経過

症例プロフィール

  • 年齢・性別: 30代女性
  • 主訴: 噛むと違和感がある
来院までの背景

最近奥歯が噛むと違和感があるということで健診希望のため来院されました。

初診時の状態と診断のポイント

診察および画像検査の結果、歯の周囲を大きく取り囲むような黒い影(黄色の矢印)が確認できました。

詰め物を外すと中で大きな虫歯が生じており(赤矢印)、そこから神経が死んでしまい、歯の周囲にまで細菌感染している状態だと判断できました。骨の支えが大きく失われており、歯は大きく揺れておりました。

CT画像では、歯の根の周囲の骨が大きく吸収していることが確認でき、それに伴い歯ぐきの腫れや、歯周ポケットが10mm以上と深い状態になっていました。
歯の保存が困難となる可能性も高い状態で抜歯もよぎりましたが、根管内の細菌が原因(専門的病名としては歯内歯周複合病変)と診断し、相談の上で保存の可能性にかけて感染根管治療を行うこととなりました。

治療方針のご説明

歯根に破折がなければ、感染根管治療を行うことで治癒が見込める可能性があることをご説明しました。
歯を残す選択肢として、抜歯も覚悟しつつ治療を進めることとなりました。

実際の治療内容
  • 治療部位:左下臼歯
  • 治療内容:感染根管治療(初回治療)

まず、虫歯部分を徹底的に除去した後、細菌が再侵入しないよう隔壁を作製しました。
そしてラバーダム防湿を行った上で、30倍まで拡大できる歯科用顕微鏡下で、根管内の清掃・洗浄を丁寧に行いました。

洗浄には、薬剤や超音波洗浄に加え、超弾性ニッケルチタンファイルやEr:YAGレーザーも併用し、根管内の細菌除去を徹底しました。

術後半年の経過観察を行ったところ、幸い治療が奏功し周囲の影が完全に消失したため、歯を保存できると判断し、かぶせものを作製して治療を終了しました。

治療期間・回数・費用
  • 治療期間:根管治療後、約6か月経過観察を行い、治癒が確認できたため、最終的なかぶせ物の治療へ移行しました。
  • 通院回数の目安
     ・根管治療:2〜4回
     ・かぶせ物治療:3〜4回
  • 費用:大臼歯 初回感染根管治療 11万円(税込)
     ※土台の補強とかぶせ物の費用は別途となります。
リスク・副作用について
  • 治療後に一時的な痛みや違和感が出ることがあります。
  • 根の病気が再発する可能性があります。
  • 再発した場合、外科的な根管治療が必要になることがあります。
  • 歯根破折している場合は、抜歯となる可能性があります。
治療後の注意点・メンテナンス

治療後も状態を確認し、周囲のお手入れやかみ合わせの確認を行うため、3か月に1回程度の定期メンテナンスをおすすめしています。
また、歯ぎしりや食いしばりによる負担を軽減するため、ナイトガード(マウスピース)の使用をご提案しました。

一般的に 神経を抜いた歯は歯根破折のリスクが 高くなります。硬いものを積極的に噛まないよう注意点もお伝えしています。

治療後の経過

術後1年の評価にCT撮影を行いましたが、完全な治癒を認めることができました。

術後2年経過時のレントゲンですが、経過良好です。治療終了後2年が経過しましたが、痛みなく噛めるようになり、日常生活に支障なくお過ごしいただいています。あと一歩 遅かったら抜歯に至った可能性があったので、保存に成功してとても喜んでいただきました。

根管治療のチャンスは一般的に1〜2回と言われています。状況によっては根管治療を試みようとしても、歯が割れていたり条件が悪いと治療自体が適応できないこともあります。とても貴重な1回の根管治療の選択をする上で、是非とも情報収集の上で将来のことを慎重にお考えいただくことをお勧めいたします。

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