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インプラント治療は、失った歯の機能回復を行うための入れ歯とブリッジに並ぶ治療法の一つです🦷
それぞれの治療法には利点と欠点がありますが、今回はかみ合わせ治療におけるインプラント治療のメリットをご紹介しようと思います。
上のグラフに示すのは、日本人の年齢別の歯の残っている本数の過去の調査結果となります。
加齢とともに何かしらの問題で抜歯を行い、歯の本数は年々減っていくわけなのですが、着目すべきは歯の本数を失っていくペースは一定ではないという点です。
これはなぜでしょうか?
一般的に歯を失うと、同じ力で噛み続けたとしても、失ってしまった歯にかかっていた力は他の歯に分散されていきます。そして、負担が大きくなった残った歯にはそれまでにない問題が生じるリスクが上昇します。悪い歯がなくなって「めでたし、めでたし」と言いたいところなのですが、実はそうではありません。どちらかというとペースアップしてお口全体が悪くなっていく傾向にあります。
歯の喪失に伴い、具体的には虫歯や歯周病のリスクが上がっていきます。力の負担が大きくなることで、歯には目に見えない亀裂が生じやすくなり、亀裂の部分から虫歯のリスクが上昇します。また、歯周病は歯の周りの炎症反応によって生じるのですが、力が強くなるとその炎症自体が強くなるため、歯周病の進行のリスクは上昇します。
歯が長持ちするためには、かみ合わせのサポートは必須条件となります。
前歯と奥歯にはお互い助け合うという非常に重要な役割がありますが、次に紹介する症例は、奥歯のサポートがなく、残った歯だけではかみ合わせの安定が図れず、インプラントを用いた症例となります。
60代 男性 歯が揺れてきて、噛めなくなってきた
初診時より奥歯をすでに7本失っておられ、残っている歯も保存不可能な歯が複数ありました。
診査診断と治療方針
精密検査の結果、上記の×印の歯は限界を超えており、複数の歯の抜歯をせざるを得ない状況でした。患者様は「何とか残せる歯を残したい」という強い希望をお持ちで、前歯は残せる歯を使ってブリッジ修復にて機能回復することを検討しました。しかしながら、奥歯のサポートがほとんど無くなってしまうことから、それだけでは前歯は負担が大きくなり過ぎてしまい、長く持たせることが難しいということから、奥歯で噛めるだけでなく、前歯のサポートとなるような前歯を守るためのインプラント治療を行っていくこととなりました。
ちなみにこの症例における奥歯の治療の対抗馬は「入れ歯」ということになりますが、一般的に入れ歯は粘膜による負担になるため、一説によると噛む力としては天然の歯の3割程度と言われています。それに対してインプラントは天然の歯と同じ骨の支えによって力を負担するため、入れ歯よりも強いサポートとなります。
治療終了時
左右ともにインプラントによる支えができ、前歯の負担が減ったことから前歯の保存が可能と判断し、最終のかぶせものを装着したところです。
作製した最終のかぶせものと、○印の部分がインプラント治療により作った歯となります。
※ネジ穴の部分は白い詰め物で蓋をします。
当院のインプラント1本の治療費 | 49.5万円(税込)+オプション代 |
オプション内容 | 静脈内鎮静、外科用ステント、骨造成、歯肉移植、仮歯、最終上部構造の材質などを必要に応じて追加します。 |
手術後、痛みや違和感、出血、腫れなどが出る可能性があります。最終上部構造は必ずしもご希望通りの見た目にならない事があります。
インプラント治療のデメリットは、治療期間がかかること、外科手術が必要になること、そして治療費がかかることが挙げられます。
術前・術後の変化
インプラント治療の役割は、単に失った歯を再建して噛めるようにするだけでなく、残った歯を助けるという非常に重要な役割があります。
この記事が、インプラント治療を考える方の参考になれば幸いです。
監修者情報
歯科医師 小谷洋平
経歴
- 京都府生まれ 洛南高等学校卒業
- 2009年 岡山大学歯学部卒業 岡山大学病院にて研修
- 2010年 貴和会新大阪歯科診療所 入職 佐々木猛先生に師事
- 2017年 貴和会新大阪歯科診療所 副院長就任
- 2019年 貴和会銀座歯科診療所 勤務
- 2021年 おだに歯科クリニック 開院
所属学会 他
- 日本臨床歯周病学会 認定医
- 日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
- 国際歯科臨床教育研究会 生活習慣と歯周病に関する認定医
- 日本口腔インプラント学会 会員
- 日本補綴歯科学会 会員
- 岡山大学大学院 インプラント再生補綴学分野 地域連携研修登録医
- 岡山大学病院 口腔インプラント講習会 会員
- JIADS(The Japan Institute for Advanced Dental Studies)講師