ゴシゴシ磨けて汚れが確実に取れることは、天然の歯もインプラントの歯にも共通して大切なポイントとなります。
60代 男性 歯ぐきが痛くて磨けない

こちらの患者様は、初診時から歯の周囲の歯ぐきが非常に少なく、磨くと痛みを伴うために十分に清掃ができない状況でした。また、奥歯のかぶせものが破損してしまっており、清掃困難のためかぶせ物のやり直しも必要となりました。

過去に他院にて行われていたインプラントのかぶせものを除去した状態です。
検査

インプラントを含めた歯の周囲には1mm程度の歯ぐき(黄色のライン)しかなく、場所によっては全く歯ぐきがないところも確認できました。さらには青の点線で示すところに「頬小帯(きょうしょうたい)」と言われるスジ状の組織が存在し、歯ブラシが当たると痛みを伴う状態でした。
過去の記事にも記載した通り、歯の周囲には炎症を起こさないためには最低でも2mmの歯ぐきが必要と言われており、歯ぐきが不足していることは明白な状態でした。
過去の歯ぐきの記事はこちら>>>
歯ぐきの移植「遊離歯肉移植術(Free Gingival Graft ; FGG)」

歯ぐきの移植を行う場合、上アゴの内側の部分(青のライン)辺りから歯ぐきを採取します。
そして、歯ぐきが不足している部分へと糸で縫い合わせを行います。

こちらが移植手術後の状態です。
治療内容 | 歯肉を増やすことと小帯を除去することを目的に遊離歯肉移植術 予約時間 90〜120分 |
費用 | 13.2-16.5万円(税込)※かぶせものの費用は別途 |
期間 | かぶせものの型取りまで約2〜4ヶ月 |
リスク・副作用 | 治療後、痛みや違和感、出血、腫れなどが出る事があります。喫煙者、糖尿病の患者様の場合、移植した組織が定着しにくいことがあります。 |
術前・術後の比較


歯ぐきの幅が増え(青色のライン)、小帯もなくなったことで磨きやすい環境が整いました。
治療部位

ピンク印:治療した部位
ご自身でしっかりとお手入れできることこそが、治療結果が長持ちする必要条件になります。
そして治療の終了はスタートです。ここから定期的なメインテナンスへと移行しました。
当院は歯肉移植のみのご依頼もお受け致しますので、お悩みの方は一度ご相談下さい。
監修者情報

歯科医師 小谷洋平
経歴
- 京都府生まれ 洛南高等学校卒業
- 2009年 岡山大学歯学部卒業 岡山大学病院にて研修
- 2010年 貴和会新大阪歯科診療所 入職 佐々木猛先生に師事
- 2017年 貴和会新大阪歯科診療所 副院長就任
- 2019年 貴和会銀座歯科診療所 勤務
- 2021年 おだに歯科クリニック 開院
所属学会 他
- 日本臨床歯周病学会 認定医
- 日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
- 国際歯科臨床教育研究会 生活習慣と歯周病に関する認定医
- 日本口腔インプラント学会 会員
- 日本補綴歯科学会 会員
- 岡山大学大学院 インプラント再生補綴学分野 地域連携研修登録医
- 岡山大学病院 口腔インプラント講習会 会員
- JIADS(The Japan Institute for Advanced Dental Studies)講師