上アゴ奥歯に歯の欠損が生じ、インプラントを計画するときは、時として追加オプションを選択しなければならないことがあります。
❶サイナスリフト + 同時埋入
上アゴの奥歯の上部には、「上顎洞(副鼻腔)」という空洞が存在します。
個人差はありますが、上の写真のように上顎洞が歯に近いところに位置していることがあります。
ここに通常のインプラント埋入をしたらどうなるでしょうか?
答えは・・・
このように上顎洞内にインプラントが突き出てしまいます。
インプラントは骨の支えが必要なものですが、この状態では骨の支えが非常に少なくなってしまいます。また、上顎洞内は清潔な領域ではないので、これではインプラント体が感染してしまいます。
そこで
上顎洞底部にある一層の上顎洞粘膜(ピンクのライン)を特殊器具を用いて黄色のラインまで持ち上げ、空いた隙間に骨移植材(骨に置き換わる顆粒)を詰め、骨を作るという方法を用います。
この術式を「上顎洞挙上術(サイナスリフト)」と言います。
こちらの症例では既存の骨でインプラントが固定できたので、上顎洞挙上術とインプラント埋入を同時に行いました。
治療終了時の状態です。
黄色のラインまで骨が形成されています。
インプラントオプション
上顎洞挙上術(サイナスリフト)
費用:33万円(税込)
※インプラントの費用は別途発生します。
術後起こりうること:痛みや違和感、出血、内出血、腫れなどが出る可能性があります。
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❷サイナスリフトを行なって半年後以降にインプラント埋入
こちらの症例のようにもともとの骨がさらに少なく、インプラント体が固定できない場合は、最初に上顎洞挙上術のみを行います。
半年後以降に改めて骨が固まってから、インプラント体を埋め込みます。
さらにインプラント体と骨が結合してから、頭出し手術を行い歯を作製します。
治療終了時のレントゲンです。
術前術後の比較です。
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❸ソケットリフト
こちらは奥歯1本欠損に対して、少し骨の高さが足りない状況でした。このように少数の本数で少量の挙上量の場合、インプラントを入れるために掘った穴の中から上顎洞粘膜を持ち上げる「ソケットリフト」という方法が適応になる場合もあります。
インプラント体埋入後の画像です。骨のラインが持ち上がりました。
インプラントオプション
ソケットリフト
費用:11~16.5万円(税込)
※インプラントの費用は別途発生します。
術後起こりうること:痛みや違和感、出血、内出血、腫れなどが出る可能性があります。
ソケットリフトはサイナスリフトに比べると外科的侵襲が少ないものの、盲目下(見えない中)での処置になるので、挙上量が大きくなったり骨の形態が複雑だと難しくなります。
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❹上顎洞を避けてのインプラント埋入
上顎洞の形態は患者様によって様々です。
こちらの患者様は、左上5番目、6番目、7番目の3本の歯を失われています。上顎洞は6番目の歯の部分が特に落ち込んできています。
このように条件的に5番目と7番目に少しだけ傾斜させて配置することで上顎洞を触ることを回避できるのであれば、外科的侵襲は少なく、一つの解決策になるかもしれません。
また、近年ショートインプラントの予後も徐々に論文で示されてきております。条件が良ければ短いインプラントを入れて上顎洞を触らないようにすることも一つです。
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上記のいくつかの術式選択は、骨質(骨の硬さ)や周りの骨の状態、埋入本数などの状況によっても変わるので、細かい検査のもと分析し、場合によっては術中判断も含めて術式選択を行っていきます。
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上顎洞挙上術は、歴史もあり予知性の高い方法ではありますが、手術自体の難易度がやや高く、術者の知識と経験が必要になります。
当院院長は、過去に上顎洞挙上術の世界的権威であるDr.Wallaceにシアトルにて直接指導を受け、これまで数多くの症例を担当してきました。
上の奥歯はインプラントができないと過去に言われた方も、よろしければ一度ご相談下さい。
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